1973年7月2日(月)学大情宣のためヘルメット着用で一文キャンパスへ。機動隊に阻止される。

提供: 19721108
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【概要】

5日予定の一文学生大会情宣のため、二連協とWACの支援を受けて執行部がヘルメットを被って登場したが、機動隊により外濠公園まで連行される。当局は午前11時以降、正門を除くすべての門を閉鎖した。夕方には、明大和泉で会議中の反帝学評を革マル60名がトラックで襲撃する事件も発生した。

【一文キャンパスで学生大会情宣】

この日の模様は、早稲田キャンパス182号に詳しい。
「7月2日午前9時頃、一文二年生連絡協議会(二連協)を中心とする一文学生約25名とそれを支援する全学行動委(WAC)約30名が、7月5日の学生大会のための情宣として文学部キャンパスに登場し、スロープ上などにバリケードを築き、黒・オレンジなどのヘルメット、旗ざお、鉄パイプで武装し、学内デモをおこなって気勢をあげた。登校した学生で1年生を中心とした40名余りが中庭での集会に加わり、多くの学生が集会を取り巻く中で一文の2年生が次々にマイクを持ち、武装登場の理解を求め、7月5日の一文学生大会への参加を呼びかけた。この間に一文の部隊は40名程にふくれあがり、中庭での武装デモを繰り返したあと、12時頃隊列を解いて理工学部方面へ引き上げようとした。しかし文学部正門付近に待機していた機動隊が一文の部隊を取り巻いて規制し、外濠公園まで連行した。」
『一文有志の記録』には2日の総括として、次のようなコメントが記されている。
「ほぼ達成。文キャンを120~130(人)で制圧できれば、40、50(人)のZでは敵対できない。大衆の渦で埋め尽くすということには限界。Zは全国部隊の時しか展開できない。」

【武装登場の意味】

一文キャンパスに登場しての情宣は実に久しぶりのことだった。キャンパスに入れない執行部とクラス委員は本部の号館に間借りするような形で活動し、刷り上がったビラをクラス単位で取りに行き、授業で配るというゲリラ戦術がもっぱらであった。それすら革マルの妨害を受けることが多く、「クラス討論をしない」という確約を迫られるクラスも多かった。この日の情宣成功も、行動委の支援と武装によってもたらされたもので、楽観は許されなかった。
何よりこの登場が武装して行われたことは、一つの分岐点といえよう。
この日の武装登場をキャンパス新聞は次のように評価した。
「二連協を中心とするクラス活動家が11.8以降初めて公然と旗ざお、鉄パイプで武装し、党派の支援なしに武装情宣を独自で貫徹した点で、小規模ながらも質的には画期的な意味があったと考えられる。」
それまでの状況については「5月中旬以降、一文だけで80数名の学生が革マル派の恫喝や暴行の前に学外へ放逐され、文学部キャンパスでの公然とした活動が1ヵ月以上行われなかった。たとえ彼らが少人数で文学部構内へ入っても、革マル派学生の『反自治会活動をした』といった恫喝の前で『今後一切の自治会運動、クラス活動にかかわりません』といった自己批判書を強要されるという状態が続き、『早稲田解放』の闘争の停滞が余儀なくされた」とし、行動委系学生が本部キャンパスに数回武装登場し、革マルの敵対に備えたことがあったものの、「団交実行委や学年協、クラス活動家の一部も、革マル派の武装襲撃の前に非武装での学内登場を避け、自発的に旗ざおなどの武装でもって7月5日の学生大会にのぞんだものとみられる」と、4月までの「強いられた武装」が5.17総長団交前の革マル派の鉄パイプテロを契機に「自覚的な武装」に変わったとしている。

【武装をめぐる意見】

一文の執行委員会、団実委、行動委の間では、武装に関する共通の見解がなかった。たとえば、4月2日の入学式においても、執行委員長以下のメンバーは、ヘルメットなしで演壇下に座り込み、行動委のメンバーは他学部の行動委とメット着用で隊列を組み、会場になだれ込んだ。メット着用に端を発し、その後、革マルの個人を狙った鉄パイプテロや外部部隊を加えての妨害活動などが激化するにつれ、運動の場を確保するための手段として、革マルに対峙できる武装が一つの課題となっていった。
6月18日付の執行委員会声明では「現在われわれの陣営では『武装』をめぐって、また、5.8~5.17の『団交』に対する総括をめぐって、方針の微妙なくい違いが生じてきています。われわれは、かかる状況を大衆的に克服し確認する場として、学生大会を提起します」とある。
また、匿名の執行委員の個人ビラには、「武装を理屈で説明するとこうだ。~~一切の代行主義を認めない。この一言に尽きる。(中略)革マルの支配下では、自らのゲヴァルトを革マルにゆだねた形で武装解除され、ゆだねた自らのゲヴァルトをチェックできないような代行制度、主義を革マルにしかれていたのである。個体としての己の生を、誰も他人に代行的に生きてもらうことがありえないように、個体としての己の意思、思想、感性の表現を己のこととして貫き、決して疎外させ代行させることなく、自らの言葉を以て語ってゆく、~~これが最低限の原則ではないか。とすれば、己の表現を、物理力を以て奪われている時に、己のゲヴァルト空間を確保し抵抗すること以外にどんな道があろうか。(中略)己のことばを表現を己から疎外させ誰かに代行させてはならない。同じ意味で、己の自衛権をゲヴァルトを己の肉体から疎外させ誰かに代行させてはならない。セクト主義的引き回しを赦さない、という確認点から言っても、種々のセクトやWAC等のゲヴァルト代行は、俺達の運動の自立をさまたげるだけにとどまらず、思想的にも運動の敗北を決定的にするであろう」と武装を定義する言葉が見られる。

【武器と防具】

武器と防具について、価格等を含め具体的に書かれた個人ビラが残っている。なお、「P」とは鉄パイプ、「モッコ」とは土木用の樫棒(編註:本来は土砂などを運ぶ網状の運搬具だが、ここではそれを下げる棒を指して「モッコ」と呼んでいる。実際に集まった棒には鍬や鋤の柄も混じっていた)、「ぼうし」とはヘルメットのことである。
●武器
ヌンチャク…各自購入のこと。
P…45本(うち20本は実戦にはあまり有効ではない)継ぎのPを現在研究中。夏休み中にゼッタイ用意します。※Pは大事な消耗品なので、できるだけ多く用意したい。
パチンコ…持ち運び便利。破壊力大。実用性あり。各自作ってほしい。
モッコ…秋まで20本位用意したい。破壊力はPよりもあるそうです。
●防具
ぼうし…30個(うちオートバイ用1個)ヨッパラッタ時は必ず1個は拾ってくること。
プロテクター/手甲など…市販のはバカ高いので、作った方が良いと思う。スポーツ用具をもう少しあたってみたい。
洋弓用アームガード2200円 エルボーガード360円
膝サポーター450円 JRプロテクター1800円
レッグガード800円
●運搬
車…車を購入することは現実的には不可能なのでレンタカーを使用。8月中免許を持っている人に練習のため近辺をドライブしてもらう。
●その他
バリ封については綿密に計画を立てる。(8月中に計画書を作成し、9月初めに全員で検討したいと思う。)
バリ封用ハシゴ スッテプダウン…5m4300円 8m5900円
バリ作りペンチ…各自ある人持参
大型ペンチ1700円
学内P作り金ノコ(夏休み中、もしくは学内に1つ埋めておく。)
電動カッター2400円

【リンク】

執行委員会声明
猫に鈴をと やせ鼠
武装について タムラ君の場合は