1973年1月31日(水)一文当局は試験の無期延期を決定

提供: 19721108
移動先: 案内検索

【概要】

前日の学生大会での第二波1週間ストライキ決定に対し、文学部当局は試験の無期延期を決定し告示。その後の対応については、後日の教授会を待つことになった。29日の自治委員総会で30、31日の臨時ストを決議していた社会科学部では新執行部による学生大会が開かれ、1週間ストライキを決議した。

【この日のできごと】

9:20 一文当局は試験全科目の無期延期を決め告示した。
◎一文、自治委員総会を開催。
◎社学で学生大会が開催され(1300名参集)、一週間ストライキを決議した。

【試験の無期延期に対して】

「1月30日当局は、試験無期延期措置を発表した。このことをもって、われわれは、冬休み明けより第3の局面に入ったと判断する。われわれは情熱をもって斗争を斗い抜かなければならない。同時に、冷厳なる目をもって、われわれの現在的情況をみつめ直さなければならない。
当局による試験攻勢、とりわけ2度の決定・告示によって、少なからぬ部分の学友が、われわれの斗争から離れ去っていったという現実を直視せねばならない。哲学科3年のみならず、他学科、他クラスの多くが、新自治会についての充分な論議を行なえぬままに、有志討論へと散会していった。われわれは厳として存在する『無関心層』を斗争に巻き込むことなくして終っている。われわれは、この否定的内部情況が何によってもたらされてきたものであるか、その内因・外因を真摯に問いつめなければならない。
今、われわれは第2波1週間ストに突入した。そして、激しい情熱をもって、学部団交・大衆団交を克ち取ろうとしている。だが、一体われわれは何を克ち取るのであるか? 明白であるが故に、われわれは再度学友諸君に問う。学友諸君、見落してはいないだろうか、高慢破廉恥にも『常任委』を名のってわれわれの前をかっぽしている革マル派諸君を、われわれは彼等に対し、再度糾弾集会を開き、革マル派を最後的に放逐すべきことを。」(哲学3年有志のビラより)

【1973年1月31日付読売新聞より】

「“暴力追放”の原点に返れ」という見出しで読売新聞の記者は早稲田の状況を次のように書いた。サブ見出しは「早大闘争、混迷の三ヶ月」。
「冬休み明けのキャンパスで目を引いたのは、反革マル派に登場した100名ほどの黒ヘルメット部隊。当然、一般学生の間からはヘルメット着用に疑問の目が向けられ、その是非で議論がわかれ、集会が二つに割れる事態も生じた。それは『革マル追放』を一致点に結集した反革マル派内部の意見対立を最も端的にさらけ出したものだった。
いわゆる反革マル派は、全共闘系、代々木系、一般学生の三派に大別できよう。紛争が長びくにつれ、当初、この運動をリードした一般学生は次第に戦列を離れ、代々木系もヘルメット論争を境に脱落、結局、全共闘系と、ノンセクト・ラジカルに変身した一般学生だけが残った。全共闘系と革マル派は、44年の第二次早大紛争以来、不倶戴天(ふぐたいてん)の間柄。『革マルの武装から身を守るため』身につけた黒ヘルメットは、いきおい攻撃的な意味をもちはじめ、さる19日の衝突では『暴力はやめろ』という一般学生の叫びも、激しい投石の前にかき消されてしまった。
一方、シンパ層から見放され100人ほどになった革マル派は、武装と“外人部隊”を頼りにますます結束を固めている。23日に行なわれた同派のデモでは、その中堅幹部の一人が、そばでデモ隊の頭数を数えていた二人の男女に『なぜ、人数を数えるのか』と詰めより、相手に身分証明書を出させ、住所、氏名を書き写していた。周囲の目もあって言葉づかいは抑えていたが、“スパイ摘発”に気をつかう革マルの本心を見せつける光景だった。
“武器”のエスカレートもこのところ目立っている。さる19日の反革マル派との衝突では、ついに鉄パイプが登場、翌日、教職員が学内を調べたところ、鉄パイプやカシ棒など約250本が見つかった。大学側は告示で鉄パイプはおろか、ヘルメットや旗ザオの持ち込みも禁止しているはず。しかし、検問体制の中でも、ヘルメット部隊が公然と学内を練り歩き、いまや告示はホゴ同然、そのうえ、理事の一人が記者会見で『ヘルメットや旗ザオが凶器になるんでしょうか』と発言するなど、大学側の姿勢にも首をかしげさせるものが多い。
(中略)
大学側は真剣に紛争解決を考えているのか――最中の村井資長総長は、学生の全学団交の要求を終始『時期尚早』と突っぱね、かわりに旧態依然の告示と機動隊導入で時を過ごしてきた。
いまでは大学首脳部の間からも『たとえ、失敗しても、もっと早い時期に団交をやるべきだった』という率直な反省も出はじめているが、それも手遅れの感が強い。
ただいえることは、川口君の殺人をきっかけに起こったこの紛争の根本は、学内の『暴力追放』にあったはずで、大学当局も学生側も、いま一度この原点に返って紛争の解決策を真剣に考えるべきではなかろうか。」

【リンク】

犠牲の収斂 パルメザン4人組
自治会を独占させないための具体的対策を
革マルの川口君虐殺断固糾弾